モントリオール公共交通完全ガイド — STM 地下鉄・バスの使い方
モントリオールは北米の都市にしては珍しく、車なしで生活が成り立つ都市だ。地下鉄(Métro)4路線とバス網が市内をカバーし、ダウンタウンから主要住宅地・大学・病院へのアクセスは公共交通で完結する。ただし、日本の電車と同じ感覚で使い始めると最初につまずく部分がある。
このページでは、モントリオールに初めて住む・訪れる日本人向けに、STM(Société de transport de Montréal)の地下鉄とバスの使い方を実用レベルでまとめた。ICカードの購入から乗り換え方法、冬の注意点、よく使う路線まで、この1ページで基本は揃う。
運賃と OPUS カード
OPUS カードは日本の Suica や PASMO に相当するプリペイドカード(ICカード)だ。カードは地下鉄の各駅の窓口または券売機で購入できる。カード自体に発行手数料がかかる。
運賃の基本は「ゾーン制」ではなく「乗り放題パス vs 都度払い」の選択だ。1回乗車(titre unique)、10回乗車回数券、月額定期券(mensuel)の3種類が主な選択肢となる。長期滞在・通勤目的なら月額定期券がコストメリット大きい。
月額定期券はカレンダー月単位で、購入月の1日から末日まで有効だ。月の途中から購入しても日割り計算はされない。前月の最終週から翌月分を購入できる。
OPUS カードは1枚で地下鉄・バス・島外路線(RTL・exo)に対応しているが、パスの種類によって対応範囲が違う。STM の月額定期券は STM 管轄エリア内(モントリオール島内)が対象。ロンゲイユやラヴァルまで乗り越える場合は追加料金が発生する。
地下鉄(Métro)の路線
STM の地下鉄は4路線。路線色で識別する。
オレンジ線(Ligne orange)は最も利用者が多い基幹路線で、ダウンタウン中心部(Guy-Concordia、McGill、Berri-UQAM)から北東のラヴァルまで延びる。乗り換え数が少なく、観光・通勤ともにこの路線を軸に移動することが多い。
グリーン線(Ligne verte)は東西軸。ダウンタウンから東のアングリニョン(Angrignon)まで伸び、コート・デ・ネージュ方面へのアクセスはバスへの乗り換えで対応する。
イエロー線(Ligne jaune)は短い路線で、Berri-UQAM から南のロンゲイユ(Longueuil)まで2駅。モントリオール島外への地下鉄乗り入れはこの路線のみだ。
ブルー線(Ligne bleue)は東西に横断する路線で、コート・デ・ネージュ・ノートルダム・ド・グラース(Côte-des-Neiges–Notre-Dame-de-Grâce)の住宅地へのアクセスに使う。Snowdon 駅でオレンジ線に接続する。
バスの乗り方
地下鉄の駅間を補完するのがバスネットワークだ。バスは地下鉄カバー外のエリアへの唯一の公共交通手段でもある。
乗車方法は前ドアから乗り、OPUS カードをリーダーにタッチ、または現金(おつりなし)で運賃を支払う。降車は事前に「stop requested」のバーまたはボタンを押してから後ドアを押して下車する。降車のボタンは「これが日本と逆」で最初に気づく部分だ。
バスの路線番号と時刻は STM の公式アプリ(Transit, Chrono STM)またはウェブサイトで確認できる。リアルタイムの到着予測が表示されるため、冬の待ち時間を最小化するのに便利だ。夜間は深夜バス(Service de nuit)が一部路線で運行される。地下鉄最終便以降はこちらを使う。
地下街(RÉSO)との接続
ダウンタウンの地下鉄主要駅は地下街 RÉSO(Réseau souterrain)と接続されている。冬季(-20°C 以下になる日)は、地下街を経由することで屋外を歩かずにダウンタウン各地にアクセスできる。
RÉSO に繋がる主な駅:McGill、Peel、Bonaventure、Berri-UQAM。地下街は商業施設・オフィスビル・ホテルと接続しており、冬の移動における有効な選択肢だ。地図は STM ウェブサイトまたは専用アプリ「Underground City Map」で確認できる。
空港へのアクセス
トルドー国際空港(Aéroport international Pierre-Elliott-Trudeau / YUL)へは、STM の Bus 747(エクスプレス空港バス)が運行している。24時間運行で、ダウンタウンの Berri-UQAM 駅またはルネ・レヴェック通り沿いのバス停から乗車できる。所要時間はルートと交通状況によって 45〜70 分。料金は OPUS カードで乗車でき、月額定期券対応。
冬季の注意点
地下鉄は屋内構造のため、積雪・凍結の影響を受けにくい。一方バスはルートによって遅延・間引きが発生することがある。STM は大雪時に運行状況をウェブサイトおよびアプリでリアルタイム更新する。バス停での待ち時間が長くなる冬季は、事前に到着予測を確認してから外に出る習慣が防寒上も合理的だ。屋外バス停に屋根はあっても暖房はない。